打ち上げ花火の撮り方 基本からちょっと変わった表現方法まで|清家道子

清家道子
打ち上げ花火の撮り方 基本からちょっと変わった表現方法まで|清家道子

はじめに

いよいよ夏になり花火のシーズンになりましたね。打ち上げ花火は日本各地で開催され、 年に一度は見たいもの。

そしてできれば美しい打ち上げ花火を綺麗に写真に収めたいですよね。

花火撮影はとても難しいですが、 ポイントだけしっかりと抑えたら思い通りに撮れるようになります。

ぜひ今年はご自身のイメージできれいな花火を撮ってみましょう。

準備

花火を撮る時はかならず三脚を準備します。夜間、 長時間の撮影になりますので出来るだけしっかりとしたものを選びます。

あまり足が細いものだとグラついたりしますので注意が必要です。

花火を撮る時はレリーズを使うのが基本ですので準備しておきましょう。

またバッテリーやカードの残量もしっかりチェック。途中で撮れなくなるような事がないようにします。

ノイズリダクションはOFFにしておきます。三脚を使うので手ぶれ補正もOFFにします。そして必ずRAWでも撮っておきましょう。

花火が打ち上がり始めるとワンパターンになりがちです。 RAWで撮影しておいて後でWBを調整し、 違う雰囲気にしてみるのもいいと思います。
■撮影機材:ソニー α7R IV + FE 70-200mm F2.8 GM OSS II
■撮影環境:6秒 f/8 117mm ISO200

レリーズを使って撮影する

シャッターをそのまま押すとブレの原因になるので、必ずレリーズを使って撮影します。

またシャッターを押すタイミングは打ち上げ花火が上がりはじめてからレリーズを押し込み、 開いてしまって消えた瞬間に放します。

通常およそ5~10秒くらいのシャッター速度になります。

■撮影機材:ソニー α7R III + FE 24-105mm F4 G OSS
■撮影環境:8秒 f/16 24mm ISO1250
風がある日は花火の形は壊れます。花火大会の当日、 風速を調べておくのも大切です。
■撮影機材:ソニー α7R III + FE 24-105mm F4 G OSS
■撮影環境:6秒 f/14 24mm ISO800

スケジュール確認

大きな花火大会になると、 スケジュールのチラシを配っていることもあります。まず会場のどこから打ち上がるのかを確認します。

打ち上げ場所がわかったら、およその構図をイメージして自分の撮影場所を決めておきます。

他の方の迷惑にならないよう三脚を立てる時は周りに配慮して行います。

風景写真として花火を撮る場合は構図が重要になります。この場合、 街全体の雰囲気を残しつつ左に花火を配置し、花火の煙が流れる様子も計算して全体をまとめています。
■撮影機材:ソニー α7R IV + FE 70-200mm F2.8 GM OSS II
■撮影環境:8秒 f/8 117mm ISO200
地上から撮る場合は川や水の映り込みを利用するのも個性的な花火にする方法です。横構図、 縦構図を瞬時に変えられるよう、 三脚、 雲台の使い方を日頃からマスターしておくことも大切です。
■撮影機材:ソニー α7R III + FE 16-35mm F2.8 GM
■撮影環境:6秒 f/8 16mm ISO250

設定

初心者の方は場所を決めたら早めに三脚をセットしカメラの設定を終えておきます。ピントは必ずマニュアルに決めておきます。
街の風景を一緒に撮る場合は街明かりなどに合わせるのもいいでしょう。

また、 花火は思った以上に高く上がります。地上から撮る時は気持ち広めに撮れるよう広角レンズがおすすめです。
高台から撮る時は望遠ズームレンズで良いでしょう。

花火が打ち上がり始めたら撮影を開始。刻一刻と太陽が沈み、露出を変えていく必要がありますのでマニュアル設定で絞りはF9~11が基本になります。まだ薄暮の時間から花火が上がることが多く、 ISO感度は時間と共に変わりますので撮影をしながらファインダーで明るさを確認し、 真っ暗になるまで調整を続けます。

花火は思った以上に高く上がります。予定していたものよりも少し広角のレンズをチョイスした方が失敗はありません。
■撮影機材:ソニー α7R IV + FE 24-105mm F4 G OSS
■撮影環境:8秒 f/14 24mm ISO800
■撮影機材:ソニー α7R III + FE 24-105mm F4 G OSS
■撮影環境:6秒 f/14 24mm ISO800

ちょっと変わった撮り方にチャレンジ

慣れてきたらズーミングしてちょっと変わった撮り方にもチャレンジしましょう。

手持ちでシャッター速度は2~5秒くらいにし、標準ズームレンズで花火にピントを合わせながら露光中にズームリングを回します。

まるでお花のような形になることもあり楽しめますよ。

■撮影機材:ソニー α7C + FE 24-105mm F4 G OSS
■撮影環境:4秒 f/14 65mm ISO100
■撮影機材:ソニー α7C + FE 24-105mm F4 G OSS
■撮影環境:2秒 f/11 82mm ISO100
■撮影機材:ソニー α7C + FE 24-105mm F4 G OSS
■撮影環境:2秒 f/14 65mm ISO100
■撮影機材:ソニー α7C + FE 24-105mm F4 G OSS
■撮影環境:2秒 f/14 105mm ISO100
こちらは露光中にカメラを回しています。不思議な銀河のようにも見えます。
■撮影機材:ソニー α7C + FE 24-105mm F4 G OSS
■撮影環境:2秒 f/14 80mm ISO100
フィルターを使ってニュアンスを出すものいいでしょう。ここではH&Yのブラックミストフィルター(ソフト効果のあるフィルター)を使ってふんわりした印象にしてみました。
■撮影機材:ソニー α7R III + FE 24-105mm F4 G OSS
■撮影環境:8秒 f/14 24mm ISO1250

フィナーレ

花火が終わってしまっても余韻を楽しんで帰りましょう。花火の煙が残り、 街全体が靄に包まれたようになります。街明かりは賑やかで、 その様子も収めておくと組写真の一枚にもなるかもしれませんね。
■撮影機材:ソニー α7R III + FE 24-105mm F4 G OSS
■撮影環境:6秒 f/11 41mm ISO800

花火大会のフィナーレはたくさんの花火が一度に打ち上がり、 白飛びしやすくなります。これまでの設定では白く飛んでしまいがちです。

方法としてはフィナーレ(トリ)の瞬間に設定を変えるか、NDフィルターを付けるという方法もあります。

最後のフィナーレまで綺麗に撮れたら上級者です。

おわりに

■撮影機材:ソニー α7R III + FE 24-105mm F4 G OSS
■撮影環境:6秒 f/5.6 101mm ISO2000

年に何度も撮れない花火大会ですが、 慣れてくると花火で様々な表現もできるようになります。

ぜひこの夏は花火を自分らしく撮ってみましょう。

 

 

■写真家:清家道子
福岡生まれ。カラーコーディネーターを経て風景写真家となり、九州を中心に撮影活動している。現在企業カレンダーを手がける他 写真雑誌への寄稿、カメラメーカーでの講演、撮影会などを行っている。2020年よりYouTube 清家道子チャンネルで風景写真、風景ショートムービーなどを配信中。

αアカデミー講師 
OMゼミ講師 
JPS会員

 

 

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