【フィルムカメラ】スマートなデザインで今人気のフィルムコンパクトカメラ「オリンパス μ(ミュー)」

坂井田富三
【フィルムカメラ】スマートなデザインで今人気のフィルムコンパクトカメラ「オリンパス μ(ミュー)」

はじめに

今回セレクトしたカメラは、1991年に発売されたスタイリッシュなフィルムカメラ「オリンパス μ(ミュー)」です。片手にぴったり収まるエルゴノミックデザインが特徴的な超コンパクトボディのフィルムカメラで、多くのユーザーから人気を得てμシリーズを不動たるものにした初代のカメラになります。

μシリーズはズームレンズや新たな機能の搭載、小型化など、とどまることなく進化を遂げ、累計生産台数が2500万台を超える人気シリーズとなったコンパクトフィルムカメラです。今また人気になっているスタイリッシュなフィルムカメラ「オリンパス μ」の魅力を紹介します。

オリンパス μの魅力と特徴

今回の「オリンパス μ」は先日実家の片付けをしていたところ、箪笥の中から発掘したカメラの内の1台で、発売当時に両親の旅行用にプレゼントしたカメラです。一緒に出てきたフィルムの有効期限が2002年になっていたので、おそらく2000年頃までは使っていたと思われます。あまり使っていなかったのか、程度は比較的良好で、レンズにカビやクモリも無い状態です。

「オリンパス μ」が発売から30年以上経過した今、Z世代の若い人に人気があるようです。発売当時もそのデザインから女性に人気があったカメラですが、今も女性ユーザーを中心に人気になっていて、中古市場でも品薄な状態になっているようです。

この初代「μ」は精悍なブラックボディですが、後に発売されたシリーズでズーム付きの「μズーム105」から「シャンパンゴールド」のボディカラーも登場し、その人気をさらに押し上げました。μシリーズは、初代の単焦点モデルからスタートしてズーム機能を持ったモデルに変わっていき、最もズームが大きかったものは、焦点距離38-170mmの4.5倍ズームを持つモデル「μ-II 170VF」もありました。

いろいろなモデルがあるμシリーズですが、スイッチを兼ねたスライドバリアは共通のシステムになっていて、全体的なデザインを大きく替えることなくシリーズを進化していましたが、ズーム機能が搭載されたことによって、少しボディが大きくなっていった事も確かです。

個人的にはμシリーズで一番魅力的なボディは、今回紹介する初代μと思っています。無駄の無いシンプルなフォルムと機能美あふれるデザインは、他のシリーズとは一線を画すものがあり、見ていて飽きないデザインです。

オリンパス μの基本スペック

「オリンパス μ」の基本スペック

使用フィルム 35mmフィルム
画面サイズ 24mm x 36mm(35mmサイズ)
レンズ オリンパスレンズ 35mm F3.5 (3群3枚)
シャッター速度 プログラム式電子シャッター
露出調整 プログラム式電子シャッターによる自動調整(F3.5・1/15秒~F16・1/500秒)
フィルム感度 自動設定(DXコード付 50/100/200/400/800/1500/3200)
ピント合わせ アクティブ方式オートフォーカス(ピント調整範囲0.35m~無限) 100ステップ
電池 3Vリチウム電池(CR123A)1個
大きさ 幅 117mm x 高さ 63mm x 奥行 37mm
質量 170g(電池別)
価格 37,000円
発売年月 1991年3月
ボディの背面はいたってシンプルでファインダーとフィルム窓のみ。
フィルムの装填も簡単なオートローディングシステム。
使用する電池は、入手しやすい3Vリチウム電池(CR123A)。
前面のスライドバリアを閉じた状態で電源OFF。
前面のスライドバリアを開けると電源ONになり撮影ができる状態に。

カメラ上部にフィルムカウンター表示や電池残量、フラッシュのモードなどが表示される液晶と、クオーツデート機能の小さな液晶があります。クオーツデート機能ですが、残念ながら年表示の部分は89~20までしか対応していないので、2024年の今となっては使えない機能になってしまっています。μを使用する際にはクオーツデート機能表示をOFF状態にしておきましょう。

電源ONにした状態でフラッシュはAUTO状態ですが、上部にあるフラッシュボタンで強制発光や強制OFFモードに変更する事が可能になっています。

フィルムカウンターは、フィルムがセットされていない状態では「E」表示で、フィルムを装填するとオートローディングでカウンターが「1」まで送られるようになっています。表示されている数字は、撮影した枚数が表示される仕組みです。フィルム撮影がすべて終了すると、自動的に巻き戻しが始まり、カウンターの数字がダウンしていきます。「E」の表示になったら裏ブタを開けて撮影済みフィルムを取り出すことができます。

撮影に関しては非常にシンプルで、構図を決めてシャッターを押すだけ。とにかく誰でも簡単に使えるのがこのカメラの魅力ですが、普段から一眼カメラなどを使用しているユーザーでは、絞りやシャッター速度などのコントロールが出来ない為、少し物足りないと感じるかもしれません。

オリンパス μでスナップ撮影

「オリンパス μ」を持って、スナップ撮影をしてきました。とてもコンパクトなカメラなので身軽に持ち歩くことができるのが大きな魅力です。場所をとらないので、小さな鞄に入れておいて持ち歩いても苦になりません。またジーンズのポケットにも入るサイズなので、気楽に持ち運んですぐに撮影することができるフィルムカメラです。

■フィルム:フジカラー SUPERIA PREMIUM 400
※フジカラーCDでデータ化
■フィルム:フジカラー SUPERIA PREMIUM 400
※フジカラーCDでデータ化
■フィルム:フジカラー SUPERIA PREMIUM 400
※フジカラーCDでデータ化
■フィルム:フジカラー SUPERIA PREMIUM 400
※フジカラーCDでデータ化
■フィルム:フジカラー SUPERIA PREMIUM 400 フラッシュ使用
※フジカラーCDでデータ化 
■フィルム:フジカラー SUPERIA PREMIUM 400
※フジカラーCDでデータ化
■フィルム:フジカラー SUPERIA PREMIUM 400
※フジカラーCDでデータ化
■フィルム:フジカラー SUPERIA PREMIUM 400
※フジカラーCDでデータ化

スナップ撮影をしていて感じたことは、オートフォーカスのレスポンスやシャッターの切れるタイミングが少々もたつく印象を受けました。しっかりとシャッターボタンを押し込まないとシャッターが切れない感じです。フラッシュモードをオートにしておけば、暗い室内では自動的にフラッシュが発光しますし、意図的にフラッシュをOFFにする事も可能です。普及機クラスのカメラで、レンズ構成は3群3枚のシンプルな構成ですが、その写りは普及機クラスを超えたレベルの描写をしてくれます。

まとめ

「オリンパス μ」の魅力は、おしゃれなフォルムのデザインと誰でも簡単にフィルムカメラを使えるシンプルな操作性につきると思います。若いZ世代に人気なのは、初めてフィルムカメラを使う場合にも簡単に使えるという点が大きな要因の一つになっているのではないでしょうか。「オリンパス μ」は、「写ルンです」の感覚で気楽に使えるおしゃれなフィルムカメラです。

 

 

■写真家:坂井田富三
写真小売業界で27年勤務したのち独立しフリーランスカメラマンとして活動中。撮影ジャンルは、スポーツ・モータースポーツ・ネイチャー・ペット・動物・風景写真を中心に撮影。第48回キヤノンフォトコンテスト スポーツ/モータースポーツ部門で大賞を受賞。

・公益社団法人 日本写真家協会(JPS)会員
・EIZO認定ColorEdgeアンバサダー
・ソニーαアカデミー講師

 

 

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