#『秋に向けて撮りたいものを考えよう。』|フィルムカメラの魅力 国分真央

国分真央
#『秋に向けて撮りたいものを考えよう。』|フィルムカメラの魅力 国分真央

はじめに

皆様こんにちは!国分です。
暑さも少しずつ和らぎ、夏はもうすぐ終わりを迎えますね。

これから秋に季節が移り変わっていきますが、どんなものを撮れば良いか悩んでいる方に、今回は季節感を伝える秋の被写体やコツなどに
ついてお伝えしていこうと思います。

また、夏とは違うフィルムに変えてみるもの良いと思いますので、ぜひ作例を見ながら秋の計画をしてみてくださいね。

ドライフラワーや秋らしい植物を取り入れる

■機材:Rolleicord III
■フィルム:Kodak GOLD 120 ISO200

秋の晴れた日は、秋らしい色合いの植物などを被写体にして撮ると季節感を感じやすくなります。
まだ冬のように日照時間が短いわけではないので、晴れた日は私も必ずカメラを持ち出すようにしています。

また、お出かけをしない日でも、小物を使って部屋で暖色系の花などを撮るのもおすすめです。
3枚目のチューリップの写真は木の椅子を置いてセッティングしてみました。
木の家具は温もり感があるので花と合わせやすいです。

特に秋は中判に関わらず、Kodak GOLDやKodak ULTRAMAXなど、色合いがはっきりしたものや暖色に傾きやすいフィルムを使うことが多いです。

■機材:Nikon F3 HP
■フィルム:Kodak GOLD 200

私は季節の節目に花を買って部屋に飾ることが多いのですが、飾っている花を被写体にしたり、飾った後はドライフラワーにして撮影することが多いです。(それもまた花を買う楽しみの1つでもあったりします)

視覚的に秋らしさを伝えるには、特別な場所に行かなくても色合いで季節感を演出することができるので、シンプルな背景からチャレンジしてみてください。

小物を使って温度感を表現する

■機材:Nikon F3 HP
■フィルム:Kodak GOLD 200

先程は”季節の植物や暖色系の花などを被写体に”ということでしたが、こういった温かい飲み物やキャンドルなどの小物でも季節感の演出が出来ます。

もし可能であれば温かい飲み物を主役にした時に、周りに布や英字新聞などを敷いてみましょう。
どれも100円均一のお店で手に入るものなので、ぜひお試しを。

個人的にはフィルムカメラと秋~冬のテーブルフォトは相性が良いと思っています。
暗いところでは出来上がった写真が多少露出不足になってしまいますが、その露出不足のくもった表現が暖かさを+(プラス)にしてくれる感覚です。

下の作例が小物をさらに使った応用例です。

■機材:Nikon F3 HP
■フィルム:Kodak Ektar 100

写真を撮るときに、主役(この作例で言えばケーキやお茶など)の周りにすべてを写さなくて良いので、主役に連想される小物が端にあると良いです。ケーキを食べるときに必要なものを連想します。例えばフォークや、マグカップ、お皿etc…

もし前述のようにお花を部屋に飾っているタイミングであれば、花や植物も少し写り込むとさらに作風の質も上がるので、なかなか外に行けないという方も、小物で季節感を演出してみて下さい。

季節限定のものを楽しむ

■機材:Nikon F3 HP
■フィルム:STRIX VISION 100D / Kodak PROFESSIONAL PORTRA 400

これまで秋らしい被写体や撮り方のコツなどをお伝えしてきました。
と同時に、花や小物は正直、秋でなくとも見せ方の問題なので自ら演出することが出来ます。

ですが、季節限定のものはやっぱりマストで撮っておきたいです。
これは秋に限らず他の季節にも言えることなので、自分は”この季節のこれが好き”を明確に持つと、撮るものの迷いが減ると思うので良いと思います。

私は山梨に移住したこともあり、葡萄やシャインマスカットなどは毎年好きで撮っています!
また、金木犀も秋の定番の一つですよね。

金木犀の香りを表現したかったので、空や木漏れ日と一緒に多重露光で撮ってみました。
秋の植物が1年で1番好きなので、この時期は毎週のようにお出かけしているかもしれません…笑

遠景を取り入れて見せ方のバランスを考える

■機材:Rolleicord III
■フィルム:Kodak GOLD 120 ISO200
■機材:コニカ 現場監督28WB
■フィルム:Kodak GOLD 200
■機材:コニカ 現場監督28WB
■フィルム:Kodak GOLD 200
■機材:Nikon F3 HP
■フィルム:Kodak PROFESSIONAL PORTRA 400

秋といえばお出かけする方も多いと思いますが、紅葉した山々や遠景、澄み渡る青空や夕暮れも撮っておきたいなと感じます。

理由としては花や小物がメインであったり、ポートレートを撮った際に、こういった背景がすっきりしているものや、構図がシンプルなものを取り入れると季節感を失わないまま”箸休め”として、写真が見やすくなると考えているからです。

この記事を読んでくださっている方は、普段SNSに載せる際やプリントを複数枚印刷した時に、写真をどんな組み合わせで選択をしていますか?

私は普段からSNSや仕事などで複数枚写真を使うとき、この”箸休め”のようにシンプルな写真を必ずメインの被写体の間に入れます。
今回は分かりやすい作例として遠景や空を掲載したのですが、もっと曖昧なものを選ぶことも。(ここでいう”曖昧な”とは、玉ボケだけの写真や輪郭がしっかりしていないもの等です)

フィード投稿をして一覧で見た時に「なんかごちゃごちゃしているな…」と感じたら、ぜひシンプルな構図の写真も撮影してストックしておくと良いですし、見る側は写真も見やすく、ストーリー性を持って見てくれると思います。

ポートレートと季節の親和性

■機材:Nikon F3 HP
■フィルム:STRIX VISION 100D
■Model : Sakira https://www.instagram.com/jashakiera/
■機材:Nikon EM
■フィルム:STRIX VISION 800T
■Model : Yue

最後に定番のポートレートも載せておきます。

やっぱりポートレートといっても季節と共に残しておくことは大切だなと感じます。
季節とポートレートの親和性は高いです。背景やモデルさんの服装も大切だと感じます。

今回は出さなかったのですが、コスモス畑は暗い色の服よりも明るい服の方が花の色が映えておすすめです。
紅葉やしっとりした雰囲気のロケーションであれば、ストールなどの温かい小物があると良いと思います。
また表情やポージングも、明るいテンションなのか、落ち着いた雰囲気に仕上げたいのかを考えるとより良いと思います!

ポートレートも奥が深いので、またポートレート×フィルムは別の回で書こうと思います!

おわりに

いかがでしたでしょうか。
今回は、秋らしい写真の撮り方や見せ方などを多角的に書かせていただきました。
また見返したときに「この写真素敵だな」と自分で思えるような、そんな写真が私も理想です。

それでは!

 

 

■写真家:国分真央
1990年 東京都生まれ。映像制作会社や写真事務所を経て独立。2020年に東京都から山梨県に移住する。書籍の表紙や広告写真、CDジャケットなど幅広いジャンルで活躍中。独特な色合いと自然が溶け込むような写真が特徴で、独自の世界観を作り上げる。近年はフィルム写真での撮影にも力を入れ、執筆活動も行っている。

 

 

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