ホワイトバランスを調整してさらに表現力を深める|カメラ用語を正しく理解しよう vol.9

ShaSha編集部
ホワイトバランスを調整してさらに表現力を深める|カメラ用語を正しく理解しよう  vol.9

はじめに

こんにちは! ShaSha編集部です。いつもご覧いただき、ありがとうございます。

ShaShaはご存じのとおりカメラやレンズなどの機材、また撮影方法などを写真愛好家の皆さまに紹介するサイトです。毎日更新される記事内では、少し難しい専門用語がたくさん飛び交っていますね。もちろん内容をすぐに理解できる写真上級者の方も多いかと思いますが「それってなんのこと?」と、?マークが出ている読者の方もいらっしゃると思います。

このシリーズではそんな初心者の方に、つまずきがちな写真用語をわかりやすく解説していきたいと思います。「なんとなくはわかってはいるけど……」という方も、用語をきちんと理解できると写真生活がますます楽しいものになるはずです。
もちろん中・上級者の方も、おさらいに是非読んでみてくださいね。

ホワイトバランスとは?

ホワイトバランスという用語、皆さんも普段からよく聞くと思います。しかし、知ってはいるけどちゃんと設定をしている方はどれぐらいいらっしゃるでしょうか。以前の回で「光の種類」について解説しましたが、今回は「光の色」と「ホワイトバランス」について解説していきます。この光の色を理解してホワイトバランスを調整できるようになると、作品の表現力がさらに深まりますので、ぜひ参考にしてみてください。

私たちが普段生活している中には、朝の太陽、室内の電球、会社の蛍光灯、夕焼けなど様々な光があります。これらの光にはすべて色があり、特に夕焼けなどの赤い光や夜になる前の青っぽい光はわかりやすいと思います。しかし、実は白っぽい昼間の太陽光など、わかりにくい光の色がたくさんあるのです。人間は光源の違う環境下でも、例えば白い花は白い花と認識して勝手に目が調整してくれるのですが、実際は光の色の影響で赤みがかかっていたり青みがかっていたりと、目で見た感じと違う色になっていたりします。カメラは基本的にこれらの色をそのまま取り込みますので、同じ場所でも違う時間帯に撮ると、見た感じとは違う色のものが撮れていたりします。これらを目で見たものと同じ状態にしていく機能がホワイトバランスです。

光の色

これらの様々な光の色は「色温度」という、光の色合いを表す数値で設定されています。
色温度は図のように真ん中あたりの白を中心に、数値が低くなるほど赤くなり、高くなるほど青くなっています。単位はケルビン(K)で表し、光の強さや向きなどは関係ありません。朝焼けや夕焼けは赤い光、昼間の太陽光は白い光、日陰などは青い光として設定されています。

ホワイトバランスの種類

現在のデジタルカメラのほとんどにシーン別のホワイトバランス機能がありますが、基本設定になっているのがオートホワイトバランスです。オートホワイトバランスとは、カメラが「今きっとこのような状況で撮っているだろう」と自動的に色温度を調整してくれる機能です。ほかにも主に下記のようなシーンが、どのメーカーのカメラにもあります。

●AWB(オート)
●太陽光
●曇り
●日陰
●蛍光灯
●白熱電球
●フラッシュ
●マニュアル
●色温度
など

同じ被写体をシーン別に設定して撮ってみると、色が変わっていくのがわかりますね。

オート ※見た目に一番近い

太陽光

曇り

日陰

蛍光灯

白熱電球

こちらは青空をケルビンを変えて撮ってみました。

3000K

4000K

5000K ※見た目に一番近い

6000K

7000K

8000K

9000K

10000K

ややこしポイント!自分でホワイトバランスを設定するとき

とてもかしこいカメラのホワイトバランス機能ですが、上の色温度の表とホワイトバランスの作例を見て「あれ?なんかおかしい」と思った方は鋭いですね!

設定以外にもっと色を表現したい時など、この色温度を参考に自身で光の色の調整をしていくことになるのですが、ここが少しややこしいところです。例えば白い花を撮ったものの、全体を赤っぽい色にしたい時には上の図にしたがって、カメラのケルビンを低く設定すれば赤っぽくなると思いませんか?それが違うのです。カメラのケルビンは逆に高く設定しなければ赤っぽくなりません。一体なぜでしょうか?

カメラのホワイトバランスとは、被写体を目で見たような色に近づける機能なので、例えば白い花を赤っぽく感知したら青で打ち消して白に近づけていきます。赤と青を相殺していくようなイメージなので、カメラのホワイトバランス機能を調整すると、色温度の数値を小さくするほど青みが強く、数値を大きくするほど赤みが強い状態になっていきます。ここが色温度の表とは逆になりますので、覚えておくとよいでしょう。

色温度は赤くなるほど数値が低く、青くなるほど高くなる

 

 

2500K

5000K

10000K

しかしホワイトバランスは互いを打ち消す作用があるため色温度の表と逆になる

こんなふうに変えてみたら表現力アップ!

同じ場所や時間に、ホワイトバランスを変えて撮ってみました。

 

 

アイスコーヒーをホワイトバランス「太陽光」で撮影

「日陰」に設定して南国感を表現

 

 

料理をホワイトバランス「オート」で撮影

美味しそうに演出するため赤みの強い「曇り」に設定

 

 

池と脇に咲いているサルスベリを「オート」で撮影

「蛍光灯」で青みをプラスすることで涼し気な雰囲気に

 

 

夕暮れをホワイトバランス「太陽光」で撮影

「白熱電球」に設定したらこんなに幻想的に

商品撮影はマニュアルで

昨今ではネットオークションなどで買い物することが当たり前になりましたが、注文した商品と色が違う!というような経験をしたことはありませんか?撮影時、オートホワイトバランスに設定しても、色がかぶってしまうこともあります。自分が販売するときにそんなトラブルがなるべく起きないように、ホワイトバランスはマニュアルで撮影することをおすすめします。

■設定方法
【1】カメラのホワイトバランスを「マニュアル」に設定。メーカーによって「カスタム」や「プリセット」などと名称が違いますが、機能は一緒です。

【2】次にファインダーや液晶画面いっぱいに白や薄いグレーの紙などをフレーミングし、カメラに基準となる白を覚えさせます。メーカーによって手順は違いますが、最近のデジタルカメラであれば、ほとんどがそのホワイトバランスのデータを覚えてくれます。

【3】マニュアルの状態で商品を撮影。そうすることにより、かなり忠実な色再現をすることができます。撮影場所が変わるときには、その都度設定をしなおしましょう。

動画のお話ですが、基本は一緒なので参考にしてみてください。

おまけ フィルム時代のホワイトバランス

現代のデジタルカメラにおいてはこのホワイトバランス機能がついていることは当たり前になりましたが、フィルム時代にはこれらを自分で調整していかなければなりませんでした。そのひとつにフィルムがあり、デーライトやタングステンといった色温度の設定が違うフィルムが存在していたのです。外で撮るときにはデーライト、室内で撮る時にはタングステンと使い分けていました。ですから、デーライトフィルムのまま色温度の低い電球の下で撮影すると赤味の強い写真になり、逆にタングステンフィルムで色温度の高い外を撮ると青っぽいような写真になってしまったのですが、今見るとこれはこれで味があって面白いですね。

ほかにも、商業撮影ではカラーメーターで色温度を測り、色補正フィルターなどをレンズにかけて色温度を調整したりしていました。

デーライトタイプ

タングステンタイプ(ブローニーフィルム)

朝夕の赤味の強い光を抑え、自然な色調に仕上げるフィルター

おわりに

作例を見ると、少しの色の違いで作品のイメージが変わってくることがおわかりになると思います。いつもオートホワイトバランスで撮影している方も、設定を変えるだけで自分の作品が新鮮に感じられるかもしれません。撮ってからレタッチソフトなどでも補正することができますが、ホワイトバランスを考えながら撮影できると写真力がアップしそうですね。

いかがでしたか? 理解できた方も、そんなこと知っているよという方も、なにかしら参考にしていただけたら幸いです。
それでは今日も楽しく撮影に出かけましょう! カシャカシャ!

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