ユリ・ラベンダー・レンゲショウマの撮り方 | 北村佑介

北村佑介

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はじめに

 季節は夏となりました。夏は、前ボケが作りづらい花が多いので、優しく柔らかいイメージや可愛いイメージで撮ることが少し難しいです。そんな夏の花ですが、ポイントさえ掴めばそれらのイメージで撮ることも難しくありません。そのポイントをなるべくわかりやすく解説していこうと思います。

ユリを撮る

 ユリは、まさに先程お伝えした、前ボケが作りづらい花です。前ボケなしの写真と前ボケありの写真の2枚を用いて、撮り方を解説していきます。

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■撮影機材:キヤノン EOS 6D + EF 135mm F2L USM
■撮影環境:絞り優先・135mm・F2.5・ISO125・1/250秒

 雨上がりに撮った一枚です。ユリのピンクと背景の緑。その色のバランスがとても気に入っています。ユリと言えば、このスカシユリを思い浮かべる方も少なくないと思います。逆光で撮ると光を透過してとても綺麗なのですが、その分色を残しづらいです。このように、雨の日や雨上がりに撮ると、花の色が濃くなります。そこまで苦労することなく花の色をしっかりと残すことができるので、雨の日の撮影はとてもオススメです。

 形や色がはっきりしているユリの葉や茎は、前ボケで使いづらいです。柔らかいイメージには前ボケは必須ではありますが、前ボケが作りづらい花の時は無理に作る必要はありません。ただ、その分後ろボケの綺麗さや色で魅せることが必要となってきます。遠く離れた緑を背景にすると、ユリに似合うとても良い色が出ます。

 この写真は雨上がりなので、その綺麗な緑が強調されています。ユリは、アップダウンがあるロケーションに咲いていることが多いので、是非遠く離れた緑を探してみてください。

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■撮影機材:ソニー α7II + キヤノン EF 200mm F2.8L II USM
■撮影環境:絞り優先・200mm・F2.8・ISO1250・1/1000秒

 先程の写真と少し似ていますが、別の日に撮ったものです。こちらは大雨が降っている最中に撮りました。大雨の日は、雨粒も大きいので止めて写したいと思い、ISOをあげてシャッタースピードを速くして撮りました。雨粒の写り方は好みが分かれますが、筆者は雨粒を止める際は1/1000秒を基準としています。

 この写真と先程の写真で大きく異なる部分は前ボケです。葉や茎は前ボケとして使いづらいですが、ユリの花はそれらと比べると前ボケとして使うのに向いています。前ボケは、レンズを向けた先に花の数が多いラインを狙いました。ユリは満開であっても、他の花と比べると密度が薄いので、少し長めの200mmを用いて望遠レンズの圧縮効果を活用しました。

ラベンダーを撮る

 初夏を代表するラベンダー。各地に名所があるので、旅行先でラベンダー畑に行く方も多いのではないでしょうか。決して撮りやすい花ではないですが、光を使うと色々なイメージで撮ることができます。

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■撮影機材:キヤノン EOS 6D + EF 135mm F2L USM
■撮影環境:絞り優先・135mm・F2.0・ISO100・1/750秒

満開のラベンダー畑にて

 7月初旬、18:30頃に逆光で撮りました。日が沈みきる直前、コントラストはあまりないけれど、光と色は残っている時間帯。ラベンダーの色を、最もしっかりと出せる時間帯であると思っています。この時に肝心なのがホワイトバランスです。同じ写真でホワイトバランスを太陽光にするとこのような色になります。

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■撮影機材:キヤノン EOS 6D + EF 135mm F2L USM

 夕暮れ感はありますが、綺麗なラベンダーの色が失われてしまいました。どちらが良い悪いというものではありませんが、筆者は花の色をしっかりと出すという優先順位が高いことの方が多いです。そのため今回は、ホワイトバランスを大きく下げ、ラベンダーの色を出すことを優先しました。

 日が沈みきる直前のオレンジ色の光の時に、低めのホワイトバランスで撮影すると、上手く調和されて綺麗な色が出ることがあります。ラベンダーに限らないので、機会があれば是非お試しください!

満開を期待して向かったラベンダー畑

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■撮影機材:ソニー α7III + キヤノン EF 135mm F2L USM
■撮影環境:絞り優先・135mm・F2.0・ISO100・1/200秒

 見頃はまだ先でしたが、夕日に照らされた咲きかけのラベンダーが目に留まりました。この写真も、やはり18:00頃です。

 先程と同じく、ホワイトバランスを下げて、ラベンダーの色を出すことを優先しました。この写真のポイントは、夕日でラベンダーの輪郭が輝いているところです。それを見せるためには、主役のラベンダーを目立たせることが重要です。主役のラベンダーの後ろに、なるべく同じ色や花が被らないラインを選びました。同じ色や花が被らないラインが見つけづらい場合は、背の高い花を選ぶのがオススメです。

最初のラベンダーの写真と同じ日に撮ったもう1枚

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■撮影機材:キヤノン EOS 6D + New Petzval 85 Art Lens Canon EF Mount (ロモグラフィーさんのペッツバールで撮りました)
■撮影環境:絞り優先・85mm・F2.2・ISO100・1/1500秒

 こちらは17:30頃の強めの光です。玉ボケがたくさんできる絶好のシチュエーションだったので、ぐるぐるボケが作れるレンズで撮ってみました。

 玉ボケやぐるぐるボケなどは、晴れた日に逆光で、木々を背景にすると作りやすいです。アングルを調整し、ピントが合う本数を減らしてなるべく主役に目が行くようにしました。そうしないと、主役が玉ボケやぐるぐるボケに埋もれてしまうためです。

レンゲショウマを撮る

 見頃はまだ先ですが、レンゲショウマの撮り方をご紹介します。山の上などに咲いていることが多いので、撮影の際はアクセスがそこまで良くはありません。ですが、その分涼しい場所であることが多いので、真夏に撮るにはとてもオススメの花です!そして夏に咲く花にしては珍しく、小さくて可愛いので機会があれば是非撮りに出かけてみてください。

木々に囲まれた、自然園で撮影

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■撮影機材:ソニー α7II + FE 35mm F1.4 Tim ZA
■撮影環境:絞り優先・35mm・F1.4・ISO100・1/350秒

 レンゲショウマは、少し俯いているものがほとんどです。なので、下から煽って撮らないとせっかくの花の形の良さが伝わりません。この花を撮る際の一番のポイントは、花の形の良さを捉えることだと思います。

 花の形の良さを捉えるということで、取り回しの利く焦点距離が短めのレンズ、35mmをチョイスしました。35mmという画角は、寄れるレンズが多く、引いて撮ってもそれなりにボケも作れる万能な画角です。花を撮る方は、一本持っていても損はないでしょう。使い時が必ずあると思います。

 レンゲショウマは背景が深い緑色ばかりになってしまうロケーションが多いです。この写真は、レタッチでシャドウを持ち上げて色を足しました。マンネリ化しないように、トーンカーブ等でシャドウを持ち上げることや、緑色を少し変化させるのもオススメです。

レンゲショウマの名所である山での一枚

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■撮影機材:ソニー α7III + キヤノン EF 200mm F2.8L II USM
■撮影環境:絞り優先・200mm・F2.8・ISO100・1/400秒

 強い光が入っていたので、その光をふんだんに取り込みました。場合によっては強い光が入ることは避けるのですが、背景が緑ばかりになりやすいレンゲショウマを撮るにあたって良いアクセントになると思い、今回は入れてみました。強い光を入れてもメインの花の色や輪郭等がしっかり残せる時は、思い切って光を入れてみることも試してみてください。

また、長いレンズを使う時は、短いレンズの時よりも形の良さを捉えることが難しくなります。そのことをしっかりと意識して撮影しましょう。

最後に

 春に比べて多少は少なくなりますが、夏も花がたくさん咲いています。熱中症等に充分注意した上で、花の撮影を楽しみましょう。最後までご覧くださり、誠にありがとうございました。

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